社内勉強会の報告

日時 : 毎月第三木曜日 午後2時より     場所 : 川口店
(予定は変更になることがあります)


2010年10月21日テーマ:「高血圧について」
担当 :武田製薬

  
高血圧治療薬についてと最近の治療の流れ
(内容を抜粋、補足している部分あり)

 Ca拮抗薬 心臓、骨格筋に作用
  ・アムロジンやカルブロックなどの第3世代の使用増
 
  ・アダラート、アムロジン:L型チャネル 血管
  ・アテレック:N型チャネル 神経
  ・ランデル、カルスロット:T型チャネル 神経・心筋・腎臓

 カルシウム拮抗薬 calcium antagonists (カルシウムブロッカー)
  ・電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)は、不活性化速度により、L型(long-lasting型)、T型(transient型)、N型(neutral型) 
   の3クラス(3種類)に分類される。その他、P型(Purkinje型)、Q型、R型の3種類のサブクラスに分類される。
  ・L型Ca2+チャネルのα1サブユニットには、α1S(骨格筋)、α1C(心筋、血管、肺、脳)、α1D(脳、内分泌系組織)が、
   存在する。
  ・L型Ca2+チャネルは、骨格筋、心筋、血管、脳など、多くの興奮性細胞に存在して、細胞外から細胞内に、Ca2+
   
(カルシウムイオン)を流入させ、細胞機能に関与する。
  ・L型Ca2+チャネルは、活性化電位閾値が高く、不活性化速度が遅い。
  ・Ca2+拮抗薬(カルシウム拮抗剤:降圧剤)は、L型Ca2+チャネルのα1サブユニットに結合し、血管平滑筋へのCa2+
   流入を阻害し、降圧効果を現わす。

  ・T型Ca2+チャネルは、心筋、血管、脳に存在する。
  ・T型Ca2+チャネルは、活性化電位閾値が低く、不活性化速度が速い:T型Ca2+チャネルは、L型Ca2+チャネルに比して、
   僅かな膜電位変化により活性化される。

  ・N型Ca2+チャネルは、特に、脳の神経細胞のシナプス前膜に、存在する。
  ・N型Ca2+チャネルは、活性化電位閾値が高く、不活性化速度は中等度とされる。


電位依存性カルシウムチャネル
各組織においてそれぞれ異なった型のカルシウムチャネルが発見されている。

部位 カルシウム電流の特性
L 筋、神経 長時間、大きい、閾値が高い
T 心臓、神経、糸球体輸出動脈 短時間、小さい、閾値が低い
N 神経 短時間、閾値が高い

非糖尿病性CKDの治療では、N型あるいはT型のCa拮抗薬を使用することで腎予後が改善する可能性あり

塩酸ベラパミル verapamil hydrachloride

●カルシウム拮抗薬(抗不整脈薬 第IV群)
●細胞膜のL型カルシウムチャネルを阻害する。
●血管平滑筋の細胞内へのカルシウム流入を抑制して弛緩させ、血管拡張により血圧を低下させる。
●心筋では異所性自動中枢を抑制し、興奮伝導速度を低下させることにより、抗不整脈作用を示す。
●正常の自動能、心筋収縮力も低下させ、酸素消費を減少させる。
※ただし過度の心抑制には注意が必要である。

【適応】狭心症、冠硬化症、心筋梗塞、頻拍性不整脈
【副作用】徐脈、房室ブロック、心不全、意識消失
【商品名】ワソラン

塩酸ジルチアゼム deltiazem hydrochloride

●カルシウム拮抗薬(抗不整脈薬 第IV群)
●細胞膜のL型カルシウムチャネルを阻害する。
●血管平滑筋の細胞内へのカルシウム流入を抑制して弛緩させ、血管拡張により血圧を低下させる。
●心筋では異所性自動中枢を抑制し、興奮伝導速度を低下させることにより、抗不整脈作用を示す。
●正常の自動能、心筋収縮力も低下させ、酸素消費を減少させる。
ただし過度の心抑制には注意が必要である。

【適応】狭心症、本態性高血圧症、頻拍性不整脈(上室性)
【副作用】徐脈、房室ブロック
【商品名】ヘルベッサー

ニフェジピン nifedipine

●ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
●心筋および血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを遮断し、心筋および血管平滑筋の収縮力を低下させる。
●血圧低下に伴う反射性頻脈が起きることがある。
●狭心症、高血圧の治療に用いる。

【商品名】アダラート

ベシル酸アムロジピン amlodipine besilate

●ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
●心筋および血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを遮断し、心筋および血管平滑筋の収縮力を低下させる。
●血圧低下に伴い反射性頻脈が起きることがある。
●高血圧症および狭心症の治療に用いる。

【商品名】ノルバスク、アムロジン

シルニジピン cilnidipine

●ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
●心筋および血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを遮断し、心筋および血管平滑筋の収縮力を低下させる。
●L型・N型両カルシウムチャネルに対して作用があり、血圧低下に伴う反射性頻脈が比較的少ない。
●高血圧症の治療に用いる。

【商品名】アテレック

塩酸エホニジピン efonidipine hydrochloride

●ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬
●心筋および血管平滑筋のL型カルシウムチャネルを遮断し、心筋および血管平滑筋の収縮力を低下させる。
●L型・T型両カルシウムチャネルに対して作用があり、血圧低下に伴う反射性頻脈が比較的少ない。
●高血圧症および狭心症の治療に用いる。

【商品名】ランデル

作用点によるカルシウム拮抗薬の分類
  作用するカルシウムチャネルの種類 薬剤 血管
拡張
心臓 臨床適用
収縮力 心拍数
非選択的
L型カルシウムチャネルブロッカー
L型
(心臓・血管)
ベラパミル(ワソラン)/
ジルチアゼム(ヘルベッサー)
狭心症・不整脈
(高血圧)
血管選択的
L型カルシウムチャネルブロッカー
L型
(血管)
ニフェジピン(アダラート)/アムロジピン(アムロジン)など ++ 高血圧症
(狭心症)
デュアル
カルシウムチャネルブロッカー
L型+N型 シルニジピン(アテレック) ++ ↓-→ 高血圧症
(狭心症)
臓器保護への期待
L型+T型 エホニジピン(ランデル) ++ ↓-→

 ACE レニン・アンジオテンシン系
  ・空咳の副作用(誤嚥性肺炎の予防に使うこともある)

アンジオテンシン変換酵素阻害薬
 
カプトプリルエナラプリル(レニベース)などのアンジオテンシン変換酵素阻害薬 angiotensin converting enzyme inhibitor (ACE inhibitor)アンジオテンシン変換酵素(ACE)に結合してその活性を阻害し、血管収縮作用とアルドステロン分泌促進作用を持つアンジオテンシンIIの産生を抑制します。アンジオテンシン変換酵素は血管弛緩作用を持つブラジキニンを分解する酵素であるキニナーゼIIと同じものです。すなわち、アンジオテンシン変換酵素阻害薬はアンジオテンシンIIの産生を抑制し、ブラジキニン量を増やすという二重の働きで血圧を低下させると考えられます。アンジオテンシン変換酵素阻害薬は動脈・静脈の両方に対して拡張作用を有するので心臓の前負荷後負荷をともに減少させます。冠動脈拡張作用、心筋や血管壁のリモデリング抑制作用もあるとされ、心不全や動脈硬化を伴う高血圧症に適しています。腎臓では糸球体内圧を低く保ち、臓器保護効果を発揮します。糖代謝、脂質代謝、尿酸代謝に対しての悪影響はほとんど無く、組織のインスリン感受性を高める効果もあるとされています。アンジオテンシン変換酵素阻害薬はアルドステロン分泌を抑制するので血液中のカリウムイオンを保持する傾向があります。したがって低カリウム血症を起こしやすい利尿薬との併用も可能です。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬の副作用としてよく見られるのが空咳です。これはブラジキニンと関係していると考えられますが、服用し続けるうちに自然に起こらなくなるといわれています。分子内にSH基を持つ薬物は発疹、かゆみ、味覚異常を起こすことがあります。

 ARB AT1受容体に作用
  ・空咳なし

  ・副作用出にくい

アンジオテンシンII受容体拮抗薬
 ロサルタン(ニューロタン)カンデサルタン(ブロプレス)などのアンジオテンシンII受容体拮抗薬 angiotensin II receptor blocking drugs (ARB) はアンジオテンシンIIの受容体に結合し、アンジオテンシンIIの血管収縮作用やアルドステロン分泌促進作用などに拮抗します。アンジオテンシン変換酵素阻害薬とほぼ同等の降圧効果が得られ、心筋保護効果、腎臓保護効果も有るとされています。受容体のレベルで働くので、キナーゼにより生成したアンジオテンシンIIの作用も抑制します。アンジオテンシン変換酵素阻害薬でみられる空咳の副作用はありませんが、これはブラジキニン分解に影響しないことで説明できます。
 その他にβ遮断薬、利用剤などあり

 プロプラノロールなどのアドレナリンβ受容体遮断薬(β遮断薬)beta blockerにはゆっくりとした降圧作用があります。その作用機序に関してはβ受容体遮断によるレニン分泌の減少や心拍出量の低下が重要と考えられていますが、交感神経終末部に存在するβ受容体の遮断によるノルアドレナリン放出抑制や、中枢のβ受容体遮断やの再調整による交感神経活動の低下なども関与している可能性があります。これらに関与するのは主としてβ受容体の中でもβ1タイプのものですが、β2タイプの受容体が平滑筋や分泌線に存在しており、平滑筋弛緩やインスリン分泌などに寄与しています。
  β遮断薬の副作用としては心臓機能低下、気管支喘息や末梢循環障害の悪化、糖代謝、脂質代謝に対する悪影響が考えられます。β遮断薬には受容体タイプに対する選択性の違い、内因性交感神経刺激様作用膜安定化作用の有無など、性質の異なる様々なものがあります。

 α受容体遮断
血管を支配している交感神経の終末からは常にある程度のノルアドレナリンが放出されており、副腎髄質からはエピネフリンが循環血液中に放出されます。これらが細動脈の血管平滑筋のアドレナリンα受容体を刺激して血管を収縮させることで、血圧が維持されています。アドレナリンα受容体遮断薬(α遮断薬) alpha blocke rはα受容体に結合して遮断し、血管平滑筋を弛緩させて血圧を低下させます。高血圧症治療には通常はプラゾシンなどα1受容体に選択的な薬物が使われます。フェントラミンなど受容体タイプ非選択的α遮断薬は褐色細胞腫に対して用いられます。α1遮断薬は糖代謝、脂質代謝、尿酸代謝に悪影響を及ぼさず、虚血性心疾患、腎障害、末梢循環障害などがある場合でも使用できます。主な副作用は起立性低血圧です。また、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬と併用した場合に反射性頻脈が起こりやすくなります。

 利尿薬は腎臓に作用して主にナトリウムイオンの排泄を促すことで尿量を増やし、血液量を減少させて血圧を低下させる薬物です。利尿薬は高血圧症治療の第一選択薬の一つとして繁用されてきました。特にわが国の場合欧米に比べて食塩摂取量が多く、ナトリウムイオンの再吸収を抑制して降圧作用を示す利尿薬の重要性は高いといえます。利尿薬は降圧作用が穏やかで、多くの場合他の高血圧治療薬と組み合わせて用いられます。他の高血圧症治療薬のほとんどが体液量を増やす傾向があるので、利尿薬の併用により副作用の軽減が期待できます。反面、利尿薬は高脂質血症、高尿酸血症を悪化させ、動脈硬化や虚血性心疾患を誘発する危険もあります。 ヒドロクロロチアジドなどのチアジド系利尿薬は降圧作用がおだやかで持続的である上に正常血圧は変化させないという利点があります。投与開始初期には血液量の低下を伴う降圧がみられますが、やがて血液量が正常に回復した後でも降圧は持続するため、利尿作用以外の作用機序も考えられます。腎機能障害を伴う高血圧症はむしろ悪化させます。低カリウム血症を起こしやすいためジギタリスとの併用には注意が必要です。フロセミドなどのループ利尿薬は腎機能を悪化させないため腎機能障害を伴う場合にも使用できますが、低カリウム血症には注意が必要です。カリウム保持性利尿薬は低カリウム血症を起こす危険のある他の利尿薬と併用することがあります。代表的薬物はトリアムテレンスピロノラクトンで、後者は原発性アルドステロン症に対する第一選択薬です。

朝型に上昇する ライザータイプ、1日通して下がらないノンディッパータイプ夜間は低下する ディッパータイプ、夜間過剰に降圧する エクストリームディッパータイプなどがある。
JSH2009のガイドライン
診察時血圧は家庭での血圧より10くらい高い
・4000万人の高血圧患
・平均食塩摂取11gと多い

・利尿剤は食塩感受性に関係している
・血圧のコントロールにより脳卒中減少
・メタボの人は循環器系疾患の死亡が通常の人より1.5~2倍多い
・収縮期血圧を2下げるだけでも死亡率など違ってくる
薬剤師の指導により血圧下降、降圧目標達成率上昇というデータあり
・他剤併用2001年CCBACEが多かったが2007年CCBARBが多い
・ライザー(昼間の血圧より夜間の血圧が高い)やノンディッパー(昼間の血圧より夜間
 の血圧が10%未満しか下がらない)人は注意しなければならない